体質改善プログラムは、漢方の考え方に基づいてあなたの不調から、その特徴や傾向を知るものです。不調が続くようであれば、個別に漢方相談をしてもらうことをおすすめします。多くの不調は間違った身体の使い方や生活習慣からきているので、漢方薬を飲みながら生活指導も受けられます。
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漢方・漢方薬の薬日本堂 > 不調でお悩みの方へ > 便秘やお腹の張りに対して漢方でできる体質改善とは
3日以上排便がない状態、または排便があっても不快な状態が残る場合を便秘といいます。
男性に比べて女性の方がなりやすいといわれます。原因として考えられるのは、水分の不足による便の乾燥と蠕動運動の低下です。ストレスで腸の動きが停滞したり、体力不足でも排便機能は低下します。便秘は、便がたまっていることによる排便時の苦痛、残便感、腹部膨満感、ガスがたまるなどの不快感以外にも、腹痛、肩こりや頭痛、食欲不振、倦怠感、肌荒れなどの症状を伴う場合があります。
便通は、普通に食事をしていれば、代謝後の不要物を排泄するために必ず起こるものです。日常の習慣づけが大切なので、1日1度は時間を決めて排便の努力をしましょう。
漢方では症状を「身体からの声(SOS)」としてとらえ、根本から原因を考えます。便秘の特徴や体質に合わせ、自然な排便が出来る身体に改善していきます。例えば、コロコロ便の場合は腸の潤いを補い、便やおならが臭い場合は腸にこもっている熱をさますなど、改善策は様々です。
漢方薬はその声や体質に応じて約200種類から選定していきます。また、便秘の原因は生活習慣も関係しています。生活習慣を見直すことで、改善への近道になります。
まずは自分の症状タイプを知り、それに合わせた生活習慣を取り入れていきましょう。
からだを整えるには、自分のタイプ(症状)を理解し、改善するための取り組みが大切です。生活習慣や考え方を見直すことによって改善のスピードがより速くなります。
ストレスや生活リズムの乱れで「気」の流れが滞ると、排便のリズムが乱れます。また疲れなどで「気」が不足すると、蠕動運動が低下して便が出にくくなってしまいます。
漢方は単純に便を出すだけではなく、なぜ便が出にくいのかにアプローチします。漢方の考え方に即した3つの便秘タイプに用いられる漢方薬の例と生活養生を紹介しましょう。
まずは、ご自身のタイプを知り、そのタイプに合ったお勧めの生活方法を取り入れることから始めましょう。
漢方薬は専門家の指導の上での服用をお勧めします。
辛いもの、油っぽいもの、お酒のとり過ぎで身体に熱がこもった状態。腸の水分が奪われて便が硬く、たまってしまうのが特徴です。
※漢方薬はあくまでも一例です。症状や体質によって漢方薬は
変わりますので、まずは専門家に御相談ください。
※画像はイメージです。
心
ストレスや焦り、緊張でも熱がこもります。ゆっくりとした入浴や散歩など、意識したリラックス時間を作ってみましょう。
食
熱がこもらない食事を心がけます。暴飲暴食や甘い食べ物、辛い食べ物の摂りすぎは注意。バナナ、柿、筍、ほうれん草などがおすすめです。
動
発汗は熱を冷ましてくれます。ジョギングやウォーキングなどを適度に取り入れましょう。
休
食べない時間をしっかりとります。五臓六腑を休ませてあげます。
親指と人差し指の分かれ目にあるくぼみ。
大腸の経絡にあるツボで、胃腸のはたらきを整え、便秘にも下痢にもよいとされています。
特に食生活の見直しが重要です。適度な運動も取り入れて生活を見直しましょう。
病後や出血後、老人に多く、全身が乾燥しやすく、腸の水分が消耗して便が硬く出にくい状態。兎糞のようなコロコロした便が特徴です
※漢方薬はあくまでも一例です。症状や体質によって漢方薬は
変わりますので、まずは専門家に御相談ください。
※画像はイメージです。
心
便が出ないことで落ち込みやすくなります。そんな時は、深呼吸を取り入れてリラックスしましょう。
食
腸を潤す食事を心がけます。種や実を意識して摂りましょう。松の実、クルミの実、ゴマの実などがおすすめです。
動
腿上げの足踏みや階段を使うと、腸の動きを応援してくれます。
休
長風呂やサウナなどでの発汗には注意しましょう。こまめに水分を補い、植物油をうまくとり入れましょう。
ひざの下のくぼみから指幅4本分下の高さで、中央の骨から親指の幅1本分外側。
胃の経絡にあり、胃痛や消化不良によいだけでなく強壮、健脚のツボとしても知られています。
こまめな水分補給は大切です。食物繊維が豊富な野菜を上手に取り入れましょう。
生活リズムの乱れやストレスなどで、腸の正常なリズムが乱れている状態。
お腹が張りやすく、便秘と下痢をくり返すのが特徴です
※漢方薬はあくまでも一例です。症状や体質によって漢方薬は
変わりますので、まずは専門家に御相談ください。
※画像はイメージです。
心
気血を巡らせて、精神不安やいらだち、お腹の張りや婦人科トラブルなどを改善します。
食
頑張り過ぎずに、ストレス解消、気分転換をこころがけましょう。ゆっっくりと深呼吸をしてリラックスしましょう。
動
気を巡らせてくれる食事を心がけます。香味野菜(春菊、ニラ、香菜など)やハーブ類、みかん、金柑などの柑橘系をとりましょう。
休
身体をよく動かすことや、ストレッチは気・血の巡りを良くしてくれます。
手の外側、手首の横じわから指幅4本分肘寄りのところで、2本の筋の間。
ストレスや熱による便秘、耳鳴りなどによいとされています。
朝は決まった時間に起きるなど、生活リズムを整えてみましょう。
40代 女性 K様 相談員:K・S
K様は学生の頃から慢性的な便秘があり、ずっと便秘薬を服用されていました。便秘薬を使えばお通じがあったので漫然と経過を見ていたら、いつの間にか症状が悪化してしまったとのことでした。便秘薬を服用しても1週間に1回便通があるかどうかという酷い便秘が続くようになったそうです。便が出ない間はお腹の張りが強く、困り果てた末、なんとか漢方で改善出来ないかとご相談にいらっしゃいました。
初回相談時のK様は、非常に緊張して相談に臨まれていたご様子でした。
ストレスや緊張から腸の動きが悪くなっている可能性があること、便通が滞りによって腸内環境が乱れやすくなっていること、それらが重なったままだとさらに便秘が悪化してしまうかもしれないことなどをお伝えしました。体内の巡りを整える漢方薬と、腸を潤し便通をつける漢方薬を併用することをお勧めしました。詳しくお話を伺って改善方法をご説明すると、長年苦しんできた便秘が良くなるかもしれないと喜ばれていた様子を今でも覚えています。
服用を開始してすぐに「腸が動き出す感じがあり、少しずつ便通がつくようになってきた」というK様は、驚いたことに前々から気になっていたむくみも改善されたとのことです。
仕事のご都合で今は沖縄に引越しをされ、忙しい毎日を過ごされています。来店での相談は難しくなってしまいましたが、弊社のオンライン漢方相談をご利用頂き漢方を継続されているため、少しずつではありますが改善に繋がっているのでしょう。これからも応援させていただきます。
便秘のため漢方薬を服用しようとしていますが、毎日服用するのは良くないですか?
漢方薬だけでなく、どんな薬も、長期間にわたる使用は慎重に考える必要があります。
長期間の服用で改善が見られない場合や、依存性が懸念される場合は、医師や専門家に相談することが望ましいです。アドバイスに従いながら適切な使用を心がけることが重要です。
漢方薬は身体の本来の機能を補助する形で作用するため、単に排便を促すだけでなく、体内の乾燥や熱のこもり、ストレスなど便秘の原因となっている症状の改善を目的とします。その原因に応じて適切なものを選ぶことが大切ですので、漢方薬の見直しも含め、お気軽にご相談ください。
漢方相談では、カウンセリングを通してお客様一人ひとりの症状や体質を確認しながら、それに合う漢方薬のご提案や、体質の根本的な改善のための生活アドバイスを行っています。快適に毎日を過ごすために、漢方相談をぜひご活用ください。
今回の記事では以下の内容をお伝えしました。
薬日本堂株式会社(くすりにほんどう)
1969年創業の漢方専門店。一人ひとりの体質や悩みに合わせて健康・美容をトータルにアドバイスする「ニホンドウ漢方ブティック」「カガエ カンポウ ブティック」「薬日本堂」を全国に展開。その他、ニホンドウ漢方ミュージアム(東京・青山)、薬日本堂漢方スクール、出版・監修、他業種とのコラボレーションなど、漢方・養生を軸とした幅広い事業展開を行っています。 (事業内容はこちら)