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公開日: 2017年11月10日
更新日: 2024年03月27日

頭痛・片頭痛に対して漢方でできる体質改善とは

頭痛

頭痛・片頭痛とは

風邪や高血圧に伴う症状としての頭痛以外に、慢性的に起こる頭痛を抱えている人は多いと言われています。
特に多いのは片頭痛と呼ばれる頭痛で、脈が打つようなズキンズキンという痛みで我慢できないほどの痛みに悩まされるケースもあります。
片頭痛は脳の血管が一度収縮したあとに拡張して起こる痛みと言われ、ストレスや不規則な睡眠、においや音、まぶしい光などが誘因と考えられています。
月経前から月経前半の頭痛は、女性ホルモン量の変動が血管に影響して起こると考えられています。

首や肩の筋肉が緊張し血流が悪くなって起こる緊張型頭痛は、長時間同じ姿勢を続けるパソコン作業からくる眼精疲労、ストレスなどが原因で首筋や後頭部が締めつけられるように痛みます。
また、脳の病気が原因となる頭痛もあり、痛みが強い時や長引くときには何が原因なのか検査をする必要があります。

痛みは、身体からのSOS信号です。
漢方には「不通則痛(ふつうそくつう)」「不栄則痛(ふえいそくつう)」という原則があり、ストレスや過労で「気」や「血」が消耗して巡りが悪くなる、胃腸のはたらきが弱って身体に余分な「水」がたまるなど、様々な要因で頭痛が引き起こされると考えます。鎮痛剤などで痛みを止めるだけでなく、自分自身を見つめなおす機会にしましょう。

漢方における頭痛・片頭痛に対する向き合い方

漢方では症状を「身体からの声(SOS)」としてとらえて根本から原因を考え、頭痛の特徴や体質に照らし合わせて漢方薬や生活養生で対処します。
例えば、多忙でストレスが多く、こめかみが絞めつけられるような頭痛の場合、気血の巡りを良くする漢方薬、こまめなストレス解消を始めとする生活養生、頭部の血行を良くするマッサージするなど、様々な角度から向き合います。普段飲んでいるお茶を工夫するのもよいでしょう。

漢方薬は症状の特徴や体質に応じて選定します。また、頭痛には生活習慣が大きく関与しているため、生活習慣を見直すことが、改善への近道になります。まずは自分の症状タイプを知り、それに合わせた生活習慣を取り入れましょう。

過労や心労で「気血」が消耗するとシクシクと弱い頭痛が続き、ストレスや不規則な生活で「気血」の巡りが悪いとズキズキと強い頭痛が生じます。さらに梅雨時季や雨の日には「水」がたまって、どんよりと重い頭痛に悩まされます。

あなたの頭痛タイプは?タイプ別おすすめ漢方薬と養生

漢方は慢性的に続く頭痛の根本的な改善に効果を発揮します。急なつらい頭痛は鎮痛剤で対処しながら、漢方薬で本質的な体質改善をして、頭痛が起こりにくい身体をめざしましょう。
漢方の考え方に即した3つの頭痛タイプに用いられる漢方薬の例と生活養生を紹介します。

血行不良タイプ

緊張や不規則な生活が続き、ストレスや運動不足が重なると、気血の流れが悪くなり詰まって頭痛が生じます。このような時には気血を巡らせて痛みを解消する漢方薬を用います。
・加味逍遙散*1
・桂枝茯苓丸*2
・釣藤散*3
日頃から軽い運動やストレッチなどで身体を動かし、気分転換することが大切です。

疲労タイプ

過労や睡眠不足、月経トラブルや加齢に伴って、栄養である「血」とエネルギーである「気」が不足して起こる頭痛には、気血を補う漢方薬を用います。
・当帰芍薬散*4
・十全大補湯*5
・補中益気湯*6
日頃から無理をせず、夜は目を休めて早めに就寝し、しっかりと休息することが大切です。

水たまりタイプ

水分の摂り過ぎ、胃腸虚弱、冷えなどによる水分代謝の低下で生じる頭痛には、胃腸の調子を整え、「水」の巡りを良くする漢方薬を用います。
・苓桂朮甘湯*7
・半夏白朮天麻湯*8
・五苓散*9
生ものや冷たい飲料は控えめに、水分はこまめに少量ずつ温かいものを摂るようにしましょう。

頭痛 タイプ別チェック

まずは、ご自身のタイプを知り、そのタイプに合ったお勧めの生活方法を取り入れることから始めましょう。
漢方薬は専門家の指導の上での服用をお勧めします。

当てはまる症状にチェックを入れてください。

上記内容でチェックする

あなたのタイプは…血行不良タイプ

このタイプは、ストレスによる気のつまりで起こる頭部の熱、運動不足などによる血行不良が原因で頭痛を起こします。心と身体のバランスが乱れ、イライラ、肩こり、のぼせなどもあらわれます。

代表的な漢方薬

加味逍遙散(かみしょうようさん)
気血を巡らせ頭部の熱感を冷ますことで、絞めつけられるような頭痛を解消します。

※漢方薬はあくまでも一例です。症状や体質によって漢方薬は
変わりますので、まずは専門家に御相談ください。
※画像はイメージです。

生活養生

  • イライラして頭に気血が上がっているときは、休憩のサイン。深い呼吸で余分な力を抜きましょう。

  • 香りのよい野菜や柑橘類で気を巡らせましょう。酢の物や適度な香辛料は、血流改善に役立ちます。

  • 身体を伸ばすストレッチなどで滞った気血を巡らせましょう。ヨガや気功などもおすすめです。

  • 運動や入浴でのリフレッシュはとても有効です。好きなハーブやアロマも巡りを支えてくれます。

ワンポイントアドバイス

ストレスはこまめに解消。香りのよいもの、適度な運動を生活に取り入れ、リフレッシュしましょう。

あなたのタイプは…疲労タイプ

このタイプは、虚弱体質や多忙な生活で気血が不足することから、シクシクと弱く続く頭痛が生じます。過労が続き睡眠不足、月経の出血が多い時などによくみられます。

代表的な漢方薬

当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
不足した血を補い、疲れや貧血に伴う弱い頭痛を解消します。

※漢方薬はあくまでも一例です。症状や体質によって漢方薬は
変わりますので、まずは専門家に御相談ください。
※画像はイメージです。

生活養生

  • 元気がないとき時こそ、クヨクヨ悩みすぎないで。ゆっくりと休んで自分をねぎらいましょう。

  • 気を補う穀類やイモ類、赤色の食材であるレバーや赤みの肉、クコの実などがお勧めです。

  • 激しい運動は控えましょう。軽いお散歩は気分も変わり、気血も巡るのでお勧めです。

  • 睡眠や休憩時間を増やしましょう。夜は早めに寝て、気血の消耗を防ぎましょう。

ワンポイントアドバイス

頑張り過ぎず、しっかり休養をとることが大切です。夜更かしは禁物で、早寝、早起きで気血を蓄えましょう。

あなたのタイプは…水たまりタイプ

このタイプは、体内の水巡りが悪いことで全身の重だるさや頭重感を生じます。朝方や天気が変わるタイミング、湿度の高い梅雨時に起こりやすく、胃腸が弱い方が多い傾向があります。

代表的な漢方薬

苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)
水を巡らせむくみを解消し、頭痛や頭重感、めまいなどを改善します。

※漢方薬はあくまでも一例です。症状や体質によって漢方薬は
変わりますので、まずは専門家に御相談ください。
※画像はイメージです。

生活養生

  • 悩みすぎ・考えすぎは胃腸を傷め水巡りが悪くなります。良かったことをみつけて自分をいたわりましょう。

  • 弱っている胃腸をいたわるために、梅干しや生姜を入れた粥を食生活に組み入れるのがお勧めです。

  • 激しい運動は控えて、軽いウォーキングやゆったりした気功・太極拳などの運動を取り入れましょう。

  • ぬるめのお湯にしっかり浸かって、じんわり汗をかきましょう。余分な水が抜けやすくなります。

ワンポイントアドバイス

水たまり解消のため、生ものや冷たいものの摂り過ぎに注意してお腹を温めましょう。

お悩み改善エピソード ー相談員よりー

20代 女性 O様  相談員:I・Y

子供の頃から続く頭痛がお悩みで、ご来店にてご相談を受けました。
鎮痛剤も効かず、頭痛が始まると数日続き、目の前に光るものが見えることもあったとのこと。
頭痛の予兆はなく、いつ始まるか分からない状態で、複数の病院で診てもらっても原因がわからなかったそうです。
付き添いのお母さまも、子供の頃から頭痛で苦しむ娘を見ており、今も育児中に具合が悪そうな姿を見て、心を痛めていらっしゃいました。

体形は、痩せ型で小柄、胃腸が弱い体質だと判断し、胃腸から元気にして頭痛を改善する漢方薬を処方したところ、
服用開始2週間ほどで、鎮痛剤が効くようになり、1〜2ヶ月後には、鎮痛剤を飲まなくて良い日が出てくるほどに回復しました。
以降、笑顔も増え、育児や家事も元気に頑張れるようになり、本人だけでなく、ご家族やお母さまもお喜びいただいたのが印象的でした。
今では月に1度くらい頭痛はあるものの、鎮痛剤はほとんど使わなくて良いほどに回復したそうです。

よくあるご質問

頭痛が水分代謝の低下(水たまりタイプ)によることがありますが、それは頭痛がある全ての人に当てはまるわけではないですよね?

上記でもお伝えしているように、漢方では、頭痛の原因を様々な体内の不調からくるものと捉えています。体内に余分な水分が滞留し、それが原因で頭痛が生じるタイプの方もいらっしゃいますが、これは頭痛の原因として可能性の一つに過ぎません。個々の症状や体質を踏まえ、その原因や伴う症状に応じて、適した漢方薬を選択することが大切です。 どの漢方を選んだらよいか分からない場合は、お気軽にご相談ください。

頭痛でお悩みの方へ

漢方相談では、カウンセリングを通してお客様一人ひとりの症状や体質を確認しながら、それに合う漢方薬のご提案や、体質の根本的な改善のための生活アドバイスを行っています。快適に毎日を過ごすために、漢方相談をぜひご活用ください。

今回の記事では以下の内容をお伝えしました。

・慢性的な頭痛や片頭痛は多くの人が経験し、脳の血管の収縮と拡張によって引き起こされると言われている。
・片頭痛の誘因にはストレス、睡眠不足、強い光などがあり、月経による女性ホルモンの変動も関連しています。
・緊張型頭痛は長時間の固定姿勢やストレスによる首や肩の筋肉の緊張が原因で、首筋や後頭部が痛みます。
・頭痛は体からのSOSとして捉えられ、漢方では「気」「血」が足りずに流れが滞ることや「水」の滞留など様々な要因で引き起こされると考えます。
・漢方では頭痛の根本的な原因を探り、漢方薬や生活養生で対処し、日常でのお茶の工夫も有効。
・血行不良タイプ、疲労タイプ、水たまりタイプなどの頭痛タイプがあり、それぞれの原因に合った、漢方薬と特定の食材を組み合わせたケアが有効です。

監修者メッセージ

齋藤 友香理(Saito Yukari) 薬剤師・漢方スクール講師
齋藤 友香理(Saito Yukari)

体質改善プログラムは、漢方の考え方に基づいてあなたの不調から、その特徴や傾向を知るものです。不調が続くようであれば、個別に漢方相談をしてもらうことをおすすめします。多くの不調は間違った身体の使い方や生活習慣からきているので、漢方薬を飲みながら生活指導も受けられます。

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運営者情報

薬日本堂株式会社(くすりにほんどう)

1969年創業の漢方専門店。一人ひとりの体質や悩みに合わせて健康・美容をトータルにアドバイスする「ニホンドウ漢方ブティック」「カガエ カンポウ ブティック」「薬日本堂」を全国に展開。その他、ニホンドウ漢方ミュージアム(東京・青山)、薬日本堂漢方スクール、出版・監修、他業種とのコラボレーションなど、漢方・養生を軸とした幅広い事業展開を行っています。 (事業内容はこちら)

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