体質改善プログラムは、漢方の考え方に基づいてあなたの不調から、その特徴や傾向を知るものです。不調が続くようであれば、個別に漢方相談をしてもらうことをおすすめします。多くの不調は間違った身体の使い方や生活習慣からきているので、漢方薬を飲みながら生活指導も受けられます。
監修者プロフィールはこちら
漢方・漢方薬の薬日本堂 > 不調でお悩みの方へ > 頭痛、めまいは高血圧のサインかも。漢方で行う体質改善とは
高血圧症は自覚症状が少なく、自分では気づかないうちに発症していることが多いです。そのため、定期的に血圧を測定して自己管理することと、血圧上昇に伴いあらわれる症状を知っておくことが大切です。
この記事では、漢方医学の高血圧症に対する考え方、症状と体質の改善を目的とした漢方薬を紹介します。
ストレスや生活リズムの乱れによる「気」の滞り、食事の不摂生や運動不足による「血」の滞りがあると血圧は上昇しやすくなります。
血液の循環において、血管にかかる圧力を血圧といいます。心臓の筋肉が収縮して血液を全身に押し出すときに血管にかかる圧力が最高血圧、心臓の筋肉が弛緩したときの圧力が最低血圧です。
本来、血圧は常に変動しており、集中しているときや運動をしているときに血圧が一時的に高くなるのは正常な反応といえます。しかし、安静時でも血圧が下がらず、常に血圧が高い状態が続くと高血圧症となります。
現在、西洋医学の基準では、最高血圧140mmHg以上、最低血圧90mmHg以上の状態が持続すると高血圧症と診断されます。
高血圧症の主な原因は、過剰なストレス、過労、睡眠不足、飲食の不摂生、運動不足などの生活習慣です。また、肥満や喫煙も血圧をあげる要因となります。
高血圧症は自覚症状がみられない場合が多く、そのため気づかずに進行していることがあります。健康診断の受診、定期的な血圧測定を自らおこない、血圧を把握することが大切です。
自覚症状が出にくい高血圧症ですが、血圧が上がるときには下記の症状を伴うことがあります。症状が繰り返し起こる場合、血圧との関連がないかを確認しましょう。また、症状は血圧が上がっているサインだと捉えれば生活養生につなげることが出来ます。
漢方では、内臓である「五臓六腑」と、エネルギーや栄養である「気血水」のはたらきに乱れが生じ、生理機能の調和が崩れた結果、血圧が高くなると考えます。漢方治療は、五臓六腑と気血水のはたらきを改善する過程において望ましい血圧が得られるように導き、自覚症状があればその改善、そして血圧の安定や正常化を目指します。
漢方では症状を「身体からの声(SOS)」としてとらえ、根本から原因を考え、
原因に対処することで血圧が上がり過ぎないような身体づくりをします。
高血圧には、精神的ストレスによる「緊張」、疲労が蓄積して栄養不足から起こる「虚弱」、年齢とともに徐々に血圧が上昇する「加齢」などのタイプがあります。
漢方薬はその声や体質に応じて約200種類から選定していきます。
また、高血圧の原因は生活習慣も関係しています。生活習慣を見直すことで、改善への近道になります。
まずは自分の症状タイプを知り、それに合わせた生活習慣を取り入れていきましょう。
高血圧症の改善には、高血圧を招く生活習慣の改善が第一です。ストレスのコントロール、休息を軽んじず睡眠をしっかりとる、飲食を整える、適度に身体を動かす、出来るだけ規則的なリズムで生活するなど、出来ることから取り組みましょう。
これら生活養生によって自律神経やホルモンのバランス、新陳代謝が健全な状態に保たれることで、高血圧の予防や改善につながります。
漢方治療では、生活習慣に留意した上で、症状と体質の改善をサポートする漢方薬を用います。漢方薬は体質、自覚症状、生活習慣などから判断して、個人個人に適した処方を選びます。
血圧とは、身体の必要な部位や手足末端まで血液を送るための圧力です。血圧が上がるということは、血液を届けるためにそれだけの圧力が必要であるということ。ですから漢方薬は血圧だけに注目してそれを下げるのではありません。年齢、性別、症状、体質などを総合して身体全体の調和を図りつつ、より適切な血圧に維持できるよう導くものです。
また、漢方薬と西洋薬は多くの場合併用できます。漢方薬を併用することで西洋薬の服用量を減らせたり、高血圧による合併症を予防する効果も期待できます。
高血圧症に使われる代表的な漢方薬には下記のようなものがあります。
まずは、ご自身のタイプを知り、そのタイプに合ったお勧めの生活方法を取り入れることから始めましょう。
漢方薬は専門家の指導の上での服用をお勧めします。
年齢と共に徐々に血圧が上昇するタイプです。加齢による不調は腎臓のはたらきとの関連があるため、ふらつきや弱い耳鳴りのほか、足腰のだるさや痛み、排尿のトラブルなどを伴う傾向があります。
※漢方薬はあくまでも一例です。症状や体質によって漢方薬は
変わりますので、まずは専門家に御相談ください。
※画像はイメージです。
心
楽しいことをみつけ、好きなこと、心地よいことを生活に散りばめて、ご機嫌で過ごす工夫を。
食
黒豆、黒木耳、ヒジキなど黒い食材で腎を養いましょう。味噌汁、スープなど汁物の潤いも大切。
動
陽の時間である日中は適度に活動を。太陽のもと、ゆったり散歩をして適度に足腰を動かしましょう。
休
クコの実と菊花のお茶で一息。入浴は汗をかき過ぎない程度にしましょう。夜更かしは禁物です。
頭頂部のほぼ中央、両耳の上端を結ぶ線と眉間の中央から延ばした線が交わる点。
全身の気が集まり、気血の流れを調整するとされるツボで全身の疲れや眠気、だるさを解消します。
体力に応じた活動で無理をしないように。楽しむ気持ちを大切に、リラックスして過ごしましょう。
緊張しやすく、ストレスを強く感じる人に多いタイプです。頭痛、首・肩のこり、めまい、耳鳴りなどを伴うこともあります。血圧は変動しやすく、怒りや緊張などで急に上がることがあるので注意。
※漢方薬はあくまでも一例です。症状や体質によって漢方薬は
変わりますので、まずは専門家に御相談ください。
※画像はイメージです。
心
気分転換とリラックスの方法をいくつかもって、日頃からこまめに発散するよう心がけましょう。
食
香味野菜や柑橘類など香りのよい食材で気を巡らせましょう。過度の飲酒、辛い飲食は控えます。
動
楽しくて気持ちがスッキリする運動を定期的に。大汗をかいて身体が熱くなるような運動はNGです。
休
ふくらはぎのマッサージ、ゴルフボールや足踏みマットなどを使った足裏の刺激がおすすめです。
こめかみのあたりで、眉尻から親指幅1本ほど上の、少しくぼんだところ。
血行を改善することで自律神経を調整し、高血圧や頭痛、めまいなどによいとされるツボです。
緊張やイライラが蓄積しないよう息抜き上手になりましょう。休息を軽んじることなく自分を大切に。
血不足から血行不良となり徐々に血圧が上昇するタイプです。 虚弱な人や胃腸が弱い人にみられ、病気や出産がきっかけになることも。 立ちくらみやめまい、物忘れ、不安感や不眠を伴うこともあります。
※漢方薬はあくまでも一例です。症状や体質によって漢方薬は
変わりますので、まずは専門家に御相談ください。
※画像はイメージです。
心
考えすぎや心配は気血を消耗します。仕事・家事・育児の合間に自分のためだけの時間を持ちましょう。
食
穀類、魚、野菜、海藻、発酵食品などバランスよく摂りましょう。温かい飲食とよく噛むことを心掛けて。
動
軽めの運動が適しています。散歩、気功、ヨガ、入浴後のストレッチ。汗をかき過ぎない程度に!
休
こまめな休息が大切。疲れる前に休む位がちょうどいいです。夜更かしはせずに0時までに就寝を。
のどぼとけから、左右に指幅2本分。
頸動脈の近くにあり、血圧を一定に保つはたらきがあります。
身体の疲れだけでなく心の疲れも癒しましょう。こまめな休息と自分の時間をもつことを心がけて。
70代 男性 N様 相談員:M・K
K様は趣味で山登りをされていました。南アメリカの山を登ろうと計画している時にメディカルチェックで最高血圧が140で引っかかり、「このままでは登山が出来ない」「血圧の薬を飲みたく無い」ということで来店されました。来店された日の夜に登山に向けて出発するということもあり、限られた時間内でご相談をさせていただき、提案した漢方薬を携えて現地に向かわれました。3週間分の漢方薬を服用してから現地でメディカルチェックをしたところ、最高血圧が120で正常になり、登山することが出来たと報告いただいた時は本当に嬉しかったです。当初の目的は達成されましたが、「今後も血圧に対しての不安を解消したい」ということで継続して漢方薬を服用なさっています。現在は血圧も安定しており、気にすることなく趣味の登山に打ち込まれています。
漢方薬を使用する際、副作用として血圧が上昇することは一般的にありますか?
一部の漢方薬は、血圧に影響を与えることがありますので、漢方薬を選ぶ際には注意が必要です。
持病がある方は、専門家にご相談の上、安全性と効果を考慮して、適切に服用することをおすすめします。
漢方薬では、単に血圧を下げることを目的とするのではなく、からだのバランスを整えることにより、血流や肥満、自律神経など血圧を上げている原因を改善し、高血圧に伴う症状を軽減することを目的としています。
まずは、原因を見極め、からだに合った漢方薬を選ぶことが大切です。お気軽にご相談ください。
漢方相談では、カウンセリングを通してお客様一人ひとりの症状や体質を確認しながら、それに合う漢方薬のご提案や、体質の根本的な改善のための生活アドバイスを行っています。快適に毎日を過ごすために、漢方相談をぜひご活用ください。
今回の記事では以下の内容をお伝えしました。
薬日本堂株式会社(くすりにほんどう)
1969年創業の漢方専門店。一人ひとりの体質や悩みに合わせて健康・美容をトータルにアドバイスする「ニホンドウ漢方ブティック」「カガエ カンポウ ブティック」「薬日本堂」を全国に展開。その他、ニホンドウ漢方ミュージアム(東京・青山)、薬日本堂漢方スクール、出版・監修、他業種とのコラボレーションなど、漢方・養生を軸とした幅広い事業展開を行っています。 (事業内容はこちら)