体質改善プログラムは、漢方の考え方に基づいてあなたの不調から、その特徴や傾向を知るものです。不調が続くようであれば、個別に漢方相談をしてもらうことをおすすめします。多くの不調は間違った身体の使い方や生活習慣からきているので、漢方薬を飲みながら生活指導も受けられます。
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漢方・漢方薬の薬日本堂 > 不調でお悩みの方へ > 自律神経を整えよう。自律神経の乱れによる不調を整える漢方薬を紹介
よく耳にする「自律神経失調症」、気にかかっている方も多いのではないでしょうか?
自律神経を構成する交感神経と副交感神経のバランスが乱れて起こる不調を「自律神経失調症」と呼びます。
ここでは「自律神経失調症」の原因と症状、漢方薬での対処法、日常生活で可能な養生法をご紹介します。
緊張やストレスによって、「気」の巡りが悪くなると、気分はふさがり、胸腹部の張りや本来身体が持っているリズムが乱れます。考え事、睡眠不足などで「血」が消耗し過ぎると精神不安、眠いのに眠れない症状が出ます。
そもそも自律神経は私たちの意思とは関係なく働いて、呼吸や心拍、代謝、体温調整など生命活動を維持する役割を担っています。
交感神経と副交感神経で活動を管理していますが、2つの神経の切り替えがうまくいかないとバランスが崩れてさまざまな不調があらわれます。これが「自律神経失調症」です。
「自律神経失調症」では心と身体の両方に不調があらわれます。
これらは不定愁訴といい、検査をしても異常がみられないことが多いのが特徴です。
さらにうつ病や不安神経症など、心の病でも同様の不調があらわれるので注意が必要です。
「自律神経失調」の原因の多くは日常に潜んでいます。
職場や家庭における人間関係や緊張がもたらす精神的なストレス、生活環境における温度や音、光、閉塞した状況などがもたらすストレスなどは、自律神経のバランスを乱します。
睡眠不足や食事の不摂生など生活習慣の乱れ、更年期における女性ホルモンの乱れなどがきっかけで、「自律神経失調症」に至ることもあります。
漢方では、これらが身体を構成する「血」の不足や「気」の滞りを生じ、「自律神経失調症」の症状を引き起こすと考えます。
「血」の不足は夜ふかしや無理なダイエット、思い悩み過ぎなどで起こり、不規則な生活や強い緊張、激しい感情変化は、「気」を滞らせます。
「自律神経失調症」であらわれる精神的な症状は、抗うつ剤や抗不安薬などでも改善はできますが、症状と体徴(身体にあらわれる特徴)を把握することで、身体的な症状と精神的な症状、共に漢方で改善を目指すことができます。
漢方では「○○には△△湯」などのように、定められているわけではありません。だからこそ、人によって異なる不調があらわれる「自律神経失調症」の対策として漢方が有効なのです。「自律神経失調症」に利く漢方薬を探すのではなく、今の自分に起きているバランスの乱れと不調によい漢方薬を選ぶことが大切です。
「血」の不足から起こる不安感や不眠、動悸、倦怠感などは、「血」を補う漢方薬や生活養生で改善を目指します。
「気」の滞りから起こるイライラやのぼせ、のどのつかえや胃の不快感などは、「気」を巡らせる漢方薬や生活養生で改善を目指します。
まずは、ご自身のタイプを知り、そのタイプに合った生活方法を取り入れることから始めましょう。
漢方薬は専門家の指導の上での服用をお勧めします。
このタイプは、強いストレスを受けたり、緊張、暴飲暴食、夜更かしなどが原因で発症します。心身が亢奮状態で、情緒不安定、入眠困難などを起こしやすいのが特徴です。
※漢方薬はあくまでも一例です。症状や体質によって漢方薬は
変わりますので、まずは専門家に御相談ください。
※画像はイメージです。
心
気分転換を行い、緊張を緩めクールダウンを心がけましょう。
食
辛いもの、揚げ物、油っこいものを控え、野菜を増やしましょう。
動
激しい運動を控え、負担の少ない散歩などがお勧めです。
休
睡眠や休憩時間を増やして、何も考えず、ゆっくりと深呼吸する時間を作りましょう。
手首の内側のしわの小指側、小さな丸い骨の真下にある小さなくぼみ。
精神を安定させ、ストレスやイライラを解消するはたらきがあります。
ゆっくりぬるめのお風呂に入ったり、ミントの精油を2~3滴入れたりして、
香りでリラックスをするのもよいでしょう。
このタイプは、考えごとが多く、パソコンや携帯電話などを使うことで身体と心の栄養である「血」が消耗して、症状が出やすくなります。
※漢方薬はあくまでも一例です。症状や体質によって漢方薬は
変わりますので、まずは専門家に御相談ください。
※画像はイメージです。
心
寝る直前は頭を使わない、根を詰めて考え事をしないようにしましょう。
食
生ものや冷たいものを控え目に。なつめ、クコの実、ニンジン、赤身の肉、黒豆、黒米などの「赤色」「黒色」の食材がおすすめです。
動
激しい運動を控え、ヨガや太極拳などのゆっくりした運動を行いましょう。
休
睡眠や休憩時間を増やして、ゆっくり休みましょう。
まっすぐに立ってひざに力を入れた時にひざの内側にできるくぼみの部分、あるいはひざの皿から指幅3本分上の位置。
血を補い、血の滞りを取り除き、全身に巡らせます。新陳代謝を高め、お腹周りが太りやすいタイプのダイエットにも有効です。
パソコンや携帯電話の使用は控えめに。
このタイプは、精神面、感情面の影響を受けやすく、情緒不安定、月経不順や月経痛などが起こりやすいことも特徴です。
※漢方薬はあくまでも一例です。症状や体質によって漢方薬は
変わりますので、まずは専門家に御相談ください。
※画像はイメージです。
心
気分転換、緊張をほぐすように心がけましょう。プラスの考え方や言葉遣いを意識してみましょう。
食
香味野菜(春菊、セロリ、小松菜、香菜など)やハーブ類柑橘系の果物(みかん、柚子など)
動
身体をしっかり動かすことで気が巡るので、ストレッチなどをするとよいでしょう。
休
電車内やちょっとした休憩時間を使って、目をつぶり、何も考えず、ゆっくりと深呼吸をしてリラックスしましょう。
胸にあります。乳頭をまっすぐに下がって、第6肋骨と第7肋骨の間。
気の巡りを良くし、水分代謝や消化促進のはたらきがあります。
ゆっくりぬるめのお風呂に入ったり、カモミールやラベンダーなどの精油を
2~3滴入れて、香りを楽しむのもよいでしょう。
「自律神経失調症」であらわれるさまざまな不調は、漢方でバランスを整えて改善へ導きましょう。
漢方薬を選ぶ際は、ご自身の不調、体質や原因にあったものを選ぶことが大切です。
のぼせ気味で顔色が赤い方に適した漢方薬で、体内の熱を冷ます4つの生薬で構成されています。
皮膚炎や口内炎など炎症の症状改善にも用いますが、「自律神経失調症」であらわれる次のような不調に適用します。
まず、目がさえて眠れないような不眠症、胸がもやもやと熱っぽくなり生じる動悸、のぼせて生じるめまいなどを和らげてくれます。
さらに月経前や更年期などにホルモンバランスが乱れて起こるいらだちや精神不安、胸を突き上げるようにして起こる焦りや不安などの神経症状の改善にも役立ちます。
虚弱体質で血色が悪い方に適した漢方薬で、不足している「気」「血」を補う生薬で構成されています。
産後や術後など出血による貧血の症状や不正出血、心労・過労による疲れなどにも用いますが、「自律神経失調症」であらわれる次のような不調に適用します。
貧血のようなめまいやふらつき、疲れて眠りたいのに眠りにつけなかったりぐっすり眠れないような不眠の症状を和らげてくれます。
細かなことに気を配り過ぎて生じる心身の疲労や、訳もなく起こる焦りや不安など神経症状の改善にも役立ちます。
虚弱体質でいらだちや精神不安がある女性に適した漢方薬で、不足した「血」を補い巡らせ、「気」の滞りを解消する生薬で構成されています。
月経痛や月経不順、更年期障害など女性の不定愁訴改善によく用いられますが、「自律神経失調症」であらわれる次のような不調に適用します。
月経前や更年期にちょっとしたことでもイライラしたり気分が落ち込む、気が張って肩がこり頭痛がする、顔がのぼせて急に汗をかく、逆に手足は冷えるなどの不調を和らげます。
さらに胸や脇が張って苦しい、めまいや頭痛がする、夢が多く眠れない、なんとなく不安に感じるなど神経症状の改善にも役立ちます。
自律神経失調症による漢方薬服用期間の目安はありますか?
最低でも3か月~半年継続していただくことをおすすめしますが、期間の目安は体質や体力、症状の度合いなど様々な条件により異なります。効果が出るまでの期間は個人差がございますので、薬日本堂では体調や経過の確認のアフターフォローでサポートさせていただきます。お気軽にご相談ください。
「自律神経失調症」の対策には、漢方薬の服用だけでなく、身体の内側や生活に目を向けて養生することが大切です。
自律神経のバランスに関係しているのが五臓の「肝」。これは解剖学的な肝臓ではなく、「気」を巡らせ「血」を貯蔵する働きのことを示しています。
五臓の「肝」を健やかにすることが、自律神経のバランスを整えることにつながるので、次のことを意識して過ごしましょう。
10代 女性 Y様 相談員:E・M
最初はお母様からメール相談が届きました。
高校生の娘Y様が学校に行けなくなり、とても心配しているのが伝わって来ましたので、すぐにお電話をかけ来店していただきました。
最初に会った時の印象は、普通の女子高生という雰囲気でしたが、「朝起きると吐き気がする」「病院に行っても原因がわからない」「学校でもいじめとか問題があるわけではない」「このままでは進級できない」というような状況でした。お母様としても娘の身体の心配と、高校を留年してしまう不安に悩まされていたようです。
自律神経失調症の場合、症状がたくさんあります。丁寧に話を伺っていくと、朝の吐き気が一番辛いと言うことが分かってきました。
そこで、朝起きて活動できるように漢方薬を始めていただきました。Y様は小柄で細い体つきでしたから、まずは吐き気を改善して食べられるように食養生のアドバイスもしました。煎じて飲む漢方薬を毎日欠かさず服用してくださったこと、眠りの質改善のために就寝の2時間前からスマホを見ないよう生活改善にも取り組んでくださったことなども、改善の後押しになったようです。
来店されるたび、Y様に笑顔が見られるようになって来ました。それにつられてお母様も笑顔が増えてきたようで、相談員としても喜びを感じています。
1年ちょっと続けていただき、少しずつ回復しています。まだ完治はしていませんが、来春からの転校も決まり、一歩ずつ踏み出せるように回復しました。これからもサポートを続けたいと思います。
漢方相談では、カウンセリングを通してお客様一人ひとりの症状や体質を確認しながら、それに合う漢方薬のご提案や、体質の根本的な改善のための生活アドバイスを行っています。快適に毎日を過ごすために、漢方相談をぜひご活用ください。
今回の記事では以下の内容をお伝えしました。
薬日本堂株式会社(くすりにほんどう)
1969年創業の漢方専門店。一人ひとりの体質や悩みに合わせて健康・美容をトータルにアドバイスする「ニホンドウ漢方ブティック」「カガエ カンポウ ブティック」「薬日本堂」を全国に展開。その他、ニホンドウ漢方ミュージアム(東京・青山)、薬日本堂漢方スクール、出版・監修、他業種とのコラボレーションなど、漢方・養生を軸とした幅広い事業展開を行っています。 (事業内容はこちら)