体質改善プログラムは、漢方の考え方に基づいてあなたの不調から、その特徴や傾向を知るものです。不調が続くようであれば、個別に漢方相談をしてもらうことをおすすめします。多くの不調は間違った身体の使い方や生活習慣からきているので、漢方薬を飲みながら生活指導も受けられます。
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漢方・漢方薬の薬日本堂 > 不調でお悩みの方へ > 妊活中の方へ。不妊症に向き合う漢方と生活養生
新たな命を抱くことは神秘的なことで、「子供は授かりもの」といわれます。生活様式、結婚の時期、妊娠を望む年齢など様々な変化がある中で、なかなかこどもを授からず、不妊に悩む方々が多くいらっしゃいます。
漢方は人に寄り添い、様々な不調を改善するもの。ここでは妊娠に対する漢方での考え方、妊活で用いられる漢方薬、日常生活に役立つ養生法を紹介します。
妊娠を望んでいるカップルが、自然な性生活を営んで2年以上妊娠に至らない場合をいいます。
女性では排卵障害、受精障害、着床障害、卵子の老化、男性では射精障害や精液の異常などがあげられます。
不妊は年々増加傾向にあり、原因としては結婚年齢が高まっていることや女性の社会進出によるライフスタイルの変化などが考えられます。
不妊症と診断された方の中には月経不順、月経痛、冷えやむくみなどの不調を長年抱えている方も多くいます。
この不調を解決し、身体のバランスを整えることで順調な妊娠や出産に近づくと、漢方では考えます。
東洋医学は病気の治療や不調の予防・改善の基礎として、「自分が本来持っている自然治癒力や生命力、すなわち正気(せいき)を高める」ということを重視します。
不妊については、病的な原因、身体的な異常があり西洋医学の治療が必要なケースと、原因がわからない、治療しているけれどなかなか授からないというケースがあります。
大切なのは、身体を構成している気・血・水のバランスを整えて、心身を健康に導くこと。
自然妊娠を望んでいるご夫婦、月経不順や月経痛、基礎体温の乱れが気になっている女性、精力減退や精子の運動が低下している男性、漢方薬と生活養生が妊活の助けになり、お子さんを授かった例が多くあります。
妊娠にもっとも関係するのは「気」と「血」です。結婚年齢が上がったことや、不規則な生活、過労、睡眠不足などにより、気も血も不足傾向になり、妊娠力が弱くなってしまいます。
また、ストレスや冷えなどで気血水の巡りが悪くなってしまうことも不妊症につながります
妊活で用いる漢方薬は多岐に渡ります。
というのも、漢方では不妊の原因や体質によって改善方法が異なるからです。ご自身の状況に応じた漢方薬を選ぶことが大切です。
月経痛や月経不順など、婦人科トラブルに対しては、温経湯や当帰芍薬散、加味逍遙散、芎帰調血飲、桂枝茯苓丸などが用いられます。
男女問わず用いる八味地黄丸や六味地黄丸、他にも補中益気湯や人参養栄湯、柴苓湯、防風通聖散などが用いられることもあります。
漢方薬は自然の素材で作られていますが、慎重に用いないといけないものもあり、民間茶や食材にも注意が必要なものがあります。
例えば、大黄やセンナ、アロエなどは排便を促す働きがあります。子宮収縮につながることがあるので、特に妊娠初期は控えたほうがよいでしょう。
紅花や桂枝茯苓丸は、血行を良くする働きが強く、妊娠がわかり次第中止します。他にも強い香りのもの、刺激が強いものなどもなるべく控えます。
いずれにしても、漢方薬での妊活を検討している方は、漢方相談を通じて自分に合った漢方薬を選び、日常生活のアドバイスを受けるとよいでしょう。
不妊症と診断されても、一部の方は子宮や卵巣などに明らかな異常が見られないことがあります。
早めの漢方薬や養生によって身体のバランスを整え、妊娠しやすい身体づくりをしましょう。
・規則正しい生活リズムで毎日を過ごすことが重要です。
・身体を整えるまでに時間がかかるので、妊娠できたかどうかに一喜一憂しないようにしましょう。
・自然とふれあい、ゆったりとした気持ちで散策しましょう。
・疲れが残らないように、睡眠時間や休息はしっかり取りましょう。
漢方では体質に合わせ、妊娠しやすい身体に改善していきます。 例えば、腰が冷えて力が入らない方は「温めて冷えを改善する」、月経前後の気分の起伏が激しい方や、子宮や卵巣の腫瘍ができやすい方は「滞りを解消する」など改善策は様々です。
漢方薬は、体質に応じて約200種類から選定していきます。また、不妊症の原因は生活習慣とも深く関係しています。生活習慣を見直すことで、改善への近道になります。
まずは自分の症状タイプを知り、それに合わせた生活習慣を取り入れていきましょう。
まずは、ご自身のタイプを知り、そのタイプに合った生活方法を取り入れることから始めましょう。
漢方薬は専門家の指導の上での服用をお勧めします。
このタイプは、暑くない気候や環境下でもほてりやすく、過労、夜更かしや刺激物を好む方が多くみられます。水分補給が少なかったり、気持ちをクールダウンができないことでほてります。
※漢方薬はあくまでも一例です。症状や体質によって漢方薬は
変わりますので、まずは専門家に御相談ください。
※画像はイメージです。
心
焦りやすいタイプのため、スケジュールを詰めすぎないように、ゆったりとした気持ちを持つことが大事です。
食
こまめに水分補給を行いましょう。調理方法は揚げ物より煮物が良いでしょう。山芋、 ニンジン、白きくらげ、ユリ根などがお勧めです。
動
激しい運動は控え、散歩などのゆったりとした運動がお勧めです。
休
睡眠や休憩時間を増やし、夜は早めに寝るようにしましょう。
内くるぶしのすぐ後ろ、アキレス腱との間のくぼみ。
水の巡りを整えて余分な水分を排出するはたらきがあります。
睡眠や休む時間を増やして、クールダウン出来るようにしましょう
このタイプは、寒くない気候や環境下でも寒さを感じやすいタイプです。生まれつきの虚弱体質や、足腰に力が入らないなどの傾向があります。
※漢方薬はあくまでも一例です。症状や体質によって漢方薬は
変わりますので、まずは専門家に御相談ください。
※画像はイメージです。
食
生野菜や果物、冷たいものを控え、ニラ、羊肉、クルミ、黒豆、黒ごま、シナモン、ヨモギなどを積極的に摂りましょう。
動
激しい運動は控えめに、体が温まるようにゆっくりした運動の習慣を身につけましょう。
休
睡眠や休憩時間を増やし、ゆっくり休みましょう。
内くるぶしの上、人差し指から小指の指幅4本分上がった骨の後ろ側。
足全体の血行を改善し、血を巡らせて身体を温めます。
腹巻きやレッグウォーマーでなどで温めたり、日光浴をお勧めします。
このタイプは、精神面、感情面の影響を受けやすく、月経前に体調が悪くなりやすいのが特徴です。
※漢方薬はあくまでも一例です。症状や体質によって漢方薬は
変わりますので、まずは専門家に御相談ください。
※画像はイメージです。
心
気分転換をして、緊張をほぐすように心がけましょう。プラスの考え方や言葉遣いを意識してみましょう。
食
香味野菜(春菊、ニラ、香菜など)やハーブ類、みかんなどの柑橘系を摂りましょう。生姜、ネギのような香辛料類、お酒は適度に摂るとよいでしょう。
動
身体をよく動かすことや、ストレッチも巡りを良くするのでお勧めです。
休
電車内やちょっとした休憩時間を使って、目をつぶり、何も考えず、ゆっくりと深呼吸をして、気の滞りを解消しましょう。
おへそから人差し指と中指の指幅2本分下がったところ。
気の流れを活発にし、気の不足や滞りによるさまざまな症状を改善することで新陳代謝を高め、余分な脂肪や老廃物を排泄します。
アロマやハーブの香りでリラックスを心がけましょう。マッサージも巡りに良いのでお勧めです。
30代 女性、K様 相談員:M・K
ご家族とお買い物の途中だったK様は、「血流が悪いのかな」と思い店頭に立ち止まっておられました。
お話を伺うと、「妊娠を希望しているが過去に2回流産を経験。今は体外受精をして、来月体調がよければ移植をしようと考えている」いうことでした。
普段のご体調を伺うと、むくみからか足がだるく、夜の睡眠の妨げにもなっているご様子でした。さらに「最近、体重が増えたこともあってか、疲労感も感じる」とのこと。
「体調が良ければ移植を行いたい」というご要望もあり、「まずは今の自覚症状である、むくみや足のだるさを改善させましょう」というお話をさせていただき、煎じ薬の服用を始めてくださいました。初めての煎じ薬の味にK様はびっくりされていましたが、すぐに味にも慣れてくださいました。
漢方を始めて1ヶ月ほどで足のだるさが緩和され、睡眠の質も良くなったそうです。そして、2ヶ月目には受精卵の移植を行い、その後無事に妊娠判定がなされました。
流産を経験していることもあり、「今は大事な時期だからしっかりやりたい」とその後も前向きに取り組んでくださいました。そして翌7月には女の子を出産されたと嬉しいご報告をいただきました。
妊活に漢方薬って効果あるのでしょうか?
漢方は、体全体のバランスを整えることに重点を置くことから、一例ですが、以下のような効果が期待されます。
ホルモンバランスの調整:生理不順や排卵障害など、ホルモンバランスに関わる問題の改善を助けることがあります。
血流の改善:子宮や卵巣への血流を良くします。
ストレスの軽減:ストレスが妊娠に与える影響は大きく、ストレス軽減によって全体的な健康状態を改善します。
実際の効果には個人差がありますし、何らかの基礎疾患が隠れている可能性もありますので、自己判断での使用は避け、妊娠に関する専門的な診断とアドバイスを受けることが大切です。
また、妊活中の漢方薬の使用は、医師や漢方専門家に相談の上、安全性と効果を考慮して服用することをお勧めします。
妊活、不妊症は女性だけの問題と考えず、男性、女性、双方の問題として夫婦で取り組んでいただきたいお悩みです。
授かりやすい体質に改善し、元気な赤ちゃんに恵まれるよう、ぜひ漢方相談をご活用ください。
今回の記事では以下の内容をお伝えしました。
薬日本堂株式会社(くすりにほんどう)
1969年創業の漢方専門店。一人ひとりの体質や悩みに合わせて健康・美容をトータルにアドバイスする「ニホンドウ漢方ブティック」「カガエ カンポウ ブティック」「薬日本堂」を全国に展開。その他、ニホンドウ漢方ミュージアム(東京・青山)、薬日本堂漢方スクール、出版・監修、他業種とのコラボレーションなど、漢方・養生を軸とした幅広い事業展開を行っています。 (事業内容はこちら)